恐ろしい閉塞性動脈硬化症のサインかもしれない
かかとの高いサンダルやブーツを長く履き続けると、足裏にタコが出現することがあります。裸足で歩くとズキンと痛みますし、見た目にも格好悪いですよね。厄介ではありますが、単に角質が硬化してできただけのタコであれば、さほど問題視することはありません。
問題なのは、タコから膿が出ていたり、嫌な臭いが発生していた場合です。その場合はただのタコではなく、恐ろしい病気のサインである可能性が高いです。その病気とは、治療が遅れると足の切断を余儀なくされることもある恐ろしい閉塞性動脈硬化症です!
足の動脈硬化が起きる糖尿病の合併症です
閉塞性動脈硬化症は、糖尿病の合併症として起こることが多く、ASO(ArterioSclerosis Obliterans)の略称でも知られています。主に足の血管に動脈硬化が起きる病気ですが、手の血管に起きることもあります。進行状況つまり病期は、以下のようにFontaine(フォンテイン)分類と呼ばれる指標によって表されます。
病期 |
症状 |
詳細 |
Fontaine1度 |
― |
手足の痺れ、手足の冷え、手足の指先の青白い変色 |
Fontaine2度 |
間欠性跛行(かんけつせいはこう) |
数分間歩行すると、ふくらはぎが痛み歩行困難になる |
Fontaine3度 |
安静時疼痛 |
手足の痛みにより安眠できなくなる |
Fontaine4度 |
潰瘍・壊死 |
皮膚潰瘍ができ、下肢の細胞が壊死する |
マゴットセラピーなら切断せずに済みますが・・・
Fontaine4度まで進行すると、壊死の広がりを阻止するために足の切断の必要性が出てきてしまいます。近年では、切断せずに済むマゴットセラピーという治療法が再普及しつつありますが、未だ自由診療の扱いであること、蛆虫が体内を住処とする恐れがあることなど、クリアすべき課題が色々と残っています。
マゴットセラピーとは?
ハエの幼虫つまり蛆虫を患部に当てて、壊死した組織を食べさせる治療法のことです。食べるのは壊死部分のみですから、健康な組織を犠牲にしなくてよいというメリットがあります。また幼虫が出す分泌液には、抗生物質でも歯が立たない多剤耐性菌を殺したり、肉芽組織や毛細血管の復活を促す効果があることがわかっています。
足裏におかしなタコができたら、皮膚潰瘍を疑おう
マゴットセラピーは、約200匹もの蛆虫を足に巻き付けたまま2~3日過ごさなければいけません。画期的ですが、気持ち悪いことこのうえない治療法でもあります。いくら足の切断を免れられるとはいえ、こんな思いをしないに越したことはありませんから、やはり病気の早期発見が何よりです。
足裏に様子のおかしなタコができたら、Fontaine4度の皮膚潰瘍を疑ってすぐに病院に行きましょう。最終病期の症状ではありますが、治療が早ければ患部のみの切除で済みます。切除した後は、動脈硬化自体の治療やライフスタイルの改善に専念しましょう。
『洋ナシ型』体型をした女性もリスクが高い!
閉塞性動脈硬化症のリスクファクターは、生活習慣病、肥満、タバコの3つです。男性の発症が目立ちますが、皮下脂肪が多く『洋ナシ型』の体型をした女性もリスクが高いと言われていますから、該当する方は気を付けましょう。