自然治癒しないから放置では治らない!静脈瘤と下肢静脈瘤
静脈瘤は、全身から心臓に戻るはずの血液の停滞や逆流によって、静脈の壁の一部が膨らむ循環器病で、下肢静脈瘤や食道静脈瘤・胃静脈瘤がありますが、足にできる下肢静脈瘤以外はあまり見られません。一番よくみられる下肢静脈瘤ですが、自分の足にぼこぼこと不自然に浮き出る血管を発見した瞬間は、心配になってしまうことも多いことでしょう。
見た目にも影響する下肢静脈瘤は、本当は出来てしまう前の予防がベスト。しかし、実際に下肢静脈瘤が出来るまで、そんな病気の存在なんて知らなかったというケースは少なくありません。
下肢静脈瘤ってどんな病気?
一般的に男性よりも女性患者が多いとされる下肢静脈瘤は、足の静脈を流れる血液が停滞、逆流するなどして静脈の血液の流れが悪くなる病気で、そのタイプは4つに分けられています。
1mm以下の細かい血管がクモの巣状に見えるクモの巣状静脈瘤
もう少し太い血管が網目状に広がる網目状静脈瘤
皮膚表面にある伏在静脈が膨張したり蛇行して瘤になる伏在静脈瘤
伏在静脈の分枝に静脈瘤が発生する分枝静脈瘤
なお、通常皮膚の表面近くにあるため非常にわかりやすい伏在静脈瘤ですが、稀に外見では分かりづらく、悪化して潰瘍など何らかの合併症を起こすケースも見られるそうです。
下肢静脈瘤の症状
下肢静脈瘤には、こむら返りや足のだるさ・重さ、疲れやすさ、むくみやチクチク感などの症状がありますが、ほとんどの場合、全身には影響がないと言われています。
また、静脈がこぶ状(瘤)に膨らんだり血管が浮き出たりする以外にも、色素沈着や先にも述べた皮膚の潰瘍などの症状を合併することも・・・。
一度できてしまったら自然には治らない!下肢静脈瘤の原因とケア&予防法
悪性の疾患ではないものの、そのまま放置したら改善されない下肢静脈瘤。原因は立ち仕事やデスクワークなど、足の筋肉を長時間動かさない環境にあるとされていますが、女性の場合、妊娠による足の血行不良なども要因の一つ。
静脈の働きを知り、下肢静脈瘤のメカニズムをよく理解することが、適切な予防やケアに繋がります。
動脈と静脈のはたらき
血管には動脈と静脈があります。動脈は心臓から血液を全身に運び、静脈は全身に運ばれた血を心臓に戻す働きをする血管です。動脈の場合、全身の末端まで血液を届けるため、圧力に耐えうるよう厚く丈夫な作りであるのに対し、静脈は心臓へ戻す血液量に応じて血管の太さを変えられるよう、薄くしなやかに出来ています。
足の静脈は、足を動かすことで静脈が筋肉に圧迫されて血液を心臓へと押し戻すポンプのような仕組みになっていて、心臓に戻す途中、血液を逆流させないように静脈弁が付いています。足から心臓に向かって、重力に負けず血液を心臓へ戻すことが出来るのは、静脈弁があるからなのです。
下肢静脈瘤の原因は静脈弁だった!?
血液を滞りなく心臓に戻すための逆流阻止装置である静脈弁。下肢静脈瘤の原因は、その静脈弁が壊れてしまうことにあります。静脈弁が壊れると、当然ながら心臓へ戻るはずの血液は停滞し、時には逆流を起こしてしまいます。それにより血管が拡張・膨張し、静脈瘤となってしまうのです。
静脈瘤は原因や症状・程度などにより細かく分けられていますが、その多くは、表在静脈の弁が壊れることで生じる一時性下肢静脈瘤に大別出来ると言われています。
再起不能なパーツ静脈弁が壊れてしまうワケ
立ち仕事や妊娠出産、デスクワークなど、長時間にわたり足の筋肉を動かさない環境で足の血液循環を滞らせてしまうと、静脈をうっ滞させやすくしてしまいます。
結果として静脈弁に負荷がかかりすぎ、静脈弁が壊れてしまうのです。特に、皮膚表面近くにある“表在静脈”は、“深部静脈”に比べ筋肉などで拡張が抑えられることも少ない為、弁が壊れやすいと言えます。
下肢静脈瘤の予防&ケアを・・・
下肢静脈瘤の予防には長時間の立ち仕事や座位を避けることが第一ですが、仕事上、いたしかたないこともあります。そういった場合は、出来るだけ足や足首を動かすことが大切です。また、弾性ストッキングを利用する、普段から階段の昇降や足踏みなどちょっとした運動を取り入れていくのも良いでしょう。
睡眠時の工夫も大切です。仰向けに寝た時、床から15cmほど高くして眠ることで、足のむくみや疲れ・だるさの解消にもなります。他にも、ガードルなど窮屈な下着も下半身の血流を悪化させ、下肢静脈瘤を引き起こす原因となってしまいます。補正下着などを付けるときは十分に注意しましょう。