下肢静脈瘤の治療
下肢静脈瘤にはいくつかのタイプがあり、その症状によって治療法にもさまざまなものがあります。それは保存的治療、硬化療法、ストリッピング手術、レーザーや高周波を用いた血管内治療といったものです。しかし、これらの治療法はすべて保険によって治療ができるものなのでしょうか?今回は、そんな疑問にお答えするために治療別に保険がきくのか、またどのくらいの治療費がかかるのかの目安をご紹介していきます。
保存的治療について
保存的治療というものは、手術や薬以外のもので治療をする方法のことです。下肢静脈瘤の症状をやわらげるため、軽い症状のときに進行を予防するために、弾性ストッキングによる圧迫治療を行ったり、生活習慣を改善するという方法です。この治療方法は、他の治療とは異なり主に症状の進行予防や緩和を目的に行われるので、下肢静脈瘤の根本的な治療ではありません。
しかし、下肢静脈瘤の症状が軽度の場合はこの保存的治療をするだけでも効果があります。この保存的治療は基本的にはお医者さんで専門的な治療などを受けないため、治療費はそんなに高くかかりません。目安としては3000~5000円ほどでしょう。しかし、この保存的治療は保険適用外となります。弾性ストッキングを使用する場合も、癌の治療後のリンパ浮腫や、肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)の予防には保険は適用されています。しかし、下肢静脈瘤の治療の場合は保険適用されません。
硬化療法
硬化療法とは、静脈瘤に硬化剤と呼ばれる薬剤を注射して固めると言う治療です。固めた血管が硬化剤によって硬くなることから硬化療法という名前がついています。硬くなった静脈は半年ほどで身体に吸収されて消えてしまいます。この療法は、外来でも短時間で行うことができますが、くもの巣状、側枝状、網目状といった比較的軽い症状の静脈瘤に効果のある治療です。そのため、症状が進行してしまった静脈瘤には治療効果が期待できないと言うデメリットも。この硬化療法は保険が適用されています。一回の治療費はおおよそ5000円ほどでしょう。
ストリッピング手術
下肢静脈瘤の中でも伏在型のものは、血管を引き抜くというストリッピング手術を行います。このストリッピング手術は、足の付け根と膝の内側の2ヶ所を切り、静脈に細い針金を入れ、その針金ごと静脈を引き抜いてしまうという手術方法です。しかし、この治療法は身体への負担が大きく、手術後に痛みや出血のリスク、また後遺症などが残る場合も。治療費はおおよそ4万円程度で、保険が適用されています。
血管内治療
血管内治療というのは、ストリッピング手術とは逆に静脈を引き抜くのではなく、レーザーや高周波で焼いて塞いでしまうという治療法です。カテーテルを静脈瘤の起きている静脈の中に入れて、内側から熱を加えることで血管を焼いてしまいます。焼けた静脈は治療後、半年程度で身体に吸収されてなくなってしまいます。血管内治療は局所麻酔によって行われるので、入院の必要がありません。また、ストリッピング手術は身体にかかる負担が大きいですが、こちらの治療は身体に負担の少ない低侵襲治療となっています。
低侵襲治療とは、手術や検査などの痛みや発熱、出血をできるだけ少なくすると言う治療法のことをさします。カテーテルや内視鏡といった身体に対する負担の少ない医療機器を用いるため、患者への負担が少なく、術後の回復も早いそうです。
血管内治療には高周波を使う高周波治療、レーザーを使用するレーザー治療の2種類があります。治療費はおおよそ5万円程度です。この2つの治療法については保険が適用されているのですが、一部のレーザー治療には保険が適用さていない場合があることに注意してください。
レーザーの波長によって保険がきかない場合がある
先ほど、一部のレーザーには保険が適用されないという話をしました。それはどうしてなのでしょうか。実は、レーザー手術やレーザー機器といったものは、ここ数年で急速に進化をしています。そのため、保険適応の認可スピードが間に合っていないということがその原因に挙げられます。古い世代のレーザー、具体的には980~1470nmまでの波長のレーザー治療においては保険が適用されています。しかし、現在最も最新である2000mnの波長のレーザー治療は保険適用外、ということになってしまうのです。
出典:
http://www.think-vein.jp/about4.html
http://www.tokyo-veinclinic.com/guide/insurance.html
http://www.varixlaser.com/laser-treatment.html