むずむず脚症候群とは
別名『レストレスレッグス症候群』。
『リラックス時やじっとしている時に、ふくらはぎを中心とした脚に違和感を覚える病気』です。
違和感の感じ方には個人差がありますが、むずむずする、虫が這いまわっているようと感じる人が多い事から、この名前が付けられています。
かきむしりたくなる『むずむず感』
違和感を覚えるのは、主にふくらはぎ、足の甲と裏ですが、症状の重い人は腰や背中にまで不快感を持つようになります。
}また、その症状も軽いものでは『むずむずする』程度なのですが、『火照り』や『刺すような痛み』を感じるケースも報告されています。
特にひどい場合は、「脚に手を入れてかきむしりたい」という欲求にかられる程、我慢のできない苦痛を感じることもあります。
対処法は『動く』事
この病気の特徴として、『足を動かすと、少しだけ楽になる』ということがあげられます。
また火照りを感じる事も多く、脚を冷やそうとするのも特徴でしょう。
この違和感は睡眠中にも覚えており、寝ている間でも無意識に脚を動かす事が確認されています。
症状が現れるのは『夜』が多い
症状が顕著に表れるのは、夕方から夜にかけて。
特にベッドに入り、眠りかけた時が最もひどく、脚を動かさずにはいられなくなります。
しかしリラックス時や脚を動かしていない場合でも、不快感は突然現れ、同じように脚を動かす事で症状を軽減する事が出来ます。
むずむず脚症候群の原因
はっきりと断定できる原因は分かっていませんが、『脳内のドーパミンが正常に働いていない』というのが有力です。
ドーパミンは脳内で情報をやり取りする『神経伝達物質』であり、このドーパミンに異常が起こると間違った情報が脳へと伝わり、その不一致が違和感となって現れるのではないかと考えられています。
事実、ドーパミン異常によって起きるパーキンソン病の患者は発病率が高く、その治療薬にむずむず脚症候群の改善効果がありました。
さらに、このドーパミンは鉄分の不足により、分泌量が減る事が知られています。
その為、鉄分を不足しやすい女性の発病率が男性よりも高くなっています。
むずむず脚症候群の問題点
この症状の最も重大な問題点は『眠れなくなる』事につきます。
- 眠りにつこうとするとむずむずして眠れなくなる。
- 気持ちが悪いから脚を動かして楽になるが、そのせいで寝付けなくなる。
- やっと眠れても不快感で起こされ熟睡できない。
- 明け方になってようやく違和感が無くなる。
多い人では、このような症状を週に数回は繰り返すことになります。
これでは十分な睡眠などとれません。
睡眠障害でうつになる
いうまでもなく、不眠症は日中の活動を低下させるだけでなく、眠れないだけでストレスとなり、ひどい時ではうつとなる場合もあります。
認知度が低く医者の誤診を招く
むずむず脚症候群が日本で知られるようになったのは、1997年にアメリカから不眠の原因として調査依頼があったことにより知られるようになりました。
新しい病気の為、医師の間でも知名度が低く、その事で誤診を招く事も少なくありません。
むずむず脚症候群の治療法
症状がつらい場合は病院へ相談しましょう。
むずむず脚症候群の原因は、脳内のドーパミンにありますので『脳や神経を専門とする神経内科』を受信する事をおすすめします。
また不眠に密接にかかわる病気ですので、『睡眠障害を扱っている精神科』でもいいでしょう。
正式にむずむず脚症候群と診断されたならば、『ビ・シフロール錠』を処方してもらえるでしょう。
この薬は臨床試験で80%もの治療効果がある保険適応の薬です。
勘違いされやすいのですが、脚が痒いからと言って、皮膚科や整形外科では根本的な治療は行なえませんので注意が必要です。
自宅でできる治療法
軽い症状の時は、薬に頼る前に生活改善を行う事で、症状を軽減できます。
鉄分の補充
鉄分不足がドーパミン現象の大きな原因ですので、意識的に鉄分を多く摂取するのが効果的です。
鉄分の多い食材はレバーやホウレンソウ。
それらを効率的に吸収する為にも、バランスのより食事は欠かせません。
カフェイン・アルコール・タバコは避ける
これら3つの摂取により、症状が悪化する事が分かっています。
またカフェインとアルコールには、睡眠を浅くする効果がありますので、不眠症を加速する原因ともなります。
マッサージとストレッチ
就寝前にマッサージやストレッチを行う事で症状を抑制することが出来ます。
また、日中にウォーキングなどの軽い運動を行うのも効果的でしょう。
しかし過度な運動を行うと症状が悪化する場合もありますので、ほどほどにしておくのが良いでしょう。
脳を覚醒させる
症状はリラックスしていたり、眠りに落ちそうな場合に現れます。
飛行機や電車での移動中など、脚を動かせない状態で症状が発生した場合は、パズルゲームやインターネットなどで脳を使うと症状を抑制できることがあります。
他人に共感されないむずむず脚症候群
むずむず脚症候群で最もストレスを感じるのは、誰にも共感されないことかもしれません。
周囲の人に理解されず、一人で悩みを抱え込んだままストレスを溜め続けている人は少なくありません。
脚に覚える違和感の全てがむずむず脚症候群ではないかもしれません。
しかし、それで不眠に悩んでいるのなら、病院へ相談してみてはいかがでしょうか。